がん免疫療法
がん免疫療法は標準治療として認められているものではありません。現在は免疫抑制など複雑な免疫システムが解明され向上しつつあります。将来的には三大標準治療に並ぶ治療として考えられますが、現時点では術後の再発予防や標準治療の補助療法あるいは代替療法となります。
免疫は体内に侵入してくるウイルスなどの異物や、様々な要因で発生する異常細胞を排除し健康を保ってくれています。日々体内で発生しているがん細胞も、免疫の働きによりがん化することは非常に稀なことです。すなわち免疫とはがん細胞にとって天敵なのです。この人間が本来持っている免疫の力を増強するのが、免疫療法です。
がん免疫療法 長所・短所
- 長所
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がん免疫療法は「患者さま自らが持っている免疫力を医療の力でさらに上げる」治療法です。患者さまの体力負担も少なくQOLを維持でき標準治療が難しい末期がんなどにも全身に作用します。標準治療と併用することにより転移再発の予防に役立ちます。
- 副作用が少ない。
- 高齢者・体力の低下した患者さまにも治療が可能となります。
- 標準治療との併用で再発・転移の抑制へ働きかけます。
- 短所
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がん免疫療法は確実に治療効果があるという科学的根拠は残念ながら、まだ認められてはいません。がん免疫療法だけでは治癒が難しく研究段階の治療法でもあると考えられます。治療法は様々で各医療機関の独自の研究で実施されているのが現状です。保険適応ではないため経済的な負担も問題といえるでしょう。
- エビデンス(科学的根拠)が不足している。
- 単独での治癒が難しい。
- ガイドラインが確率されていない。
がん免疫療法の特徴
免疫療法は標準治療のような即効性のある治療法ではありませんが全身で作用しますので、さまざまな状態のがん患者さまに対応できる治療です。初期のがんや進行がんを治療中である患者さまは標準治療に免疫療法を加えることで、寛解などの可能性が見込めます。標準治療を終え、寛解と診断された患者さまは免疫療法を受けることにより、再発を防ぐ可能性も考えられます。体力の衰えで標準治療に耐えられないような末期がんの患者さまでも、負担の少ない免疫療法であれば進行を抑えつつ延命させることができる可能性も考えられます。
がん免疫療法の副作用について
免疫療法は自己の細胞を使用するため強い副作用はありません。考えられる副作用としては、
アレルギー反応による副作用にて、
- 発熱が起こる場合があります。
- アナフィラキシーショックがごく稀に起こる可能性があります。
副作用ではありませんが、患者さまご自身の細胞を培養増殖活性化させることから、治療に時間がかかるという点も挙げられます。
一つの免疫療法だけではなくあらゆる免疫療法やがん治療全般に精通した医師が治療計画を立てることが重要です。